解答
正解
正答率 : 7230/25550 ( 28.3% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・イ | 6924 | 27.1% |
2 | ア・オ | 7230 | 28.3% |
3 | イ・ウ | 3809 | 14.9% |
4 | ウ・エ | 3374 | 13.2% |
5 | エ・オ | 4193 | 16.4% |
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憲法:私人間効力:平15-2
解説
- ア
- 誤 り
第1説は非適用説であるが,本記述は国家権力に対抗する人権の本質を変質ないし希薄化させるおそれがあると批判されるのは非適用説であると述べている。しかし,非適用説は憲法が国家対国民の関係を規律する法であることを理由として人権規定の私人間への適用を特段の定めのある場合を除いて否定する見解であるので,国家権力に対抗する人権の本質は変わらず,人権の本質を変質ないし希薄化させることはない。よって,本記述の批判は第1説には妥当しない。従って,本記述は誤っている。なお,本記述の批判が妥当するのは第2説(直接適用説)である。
- イ
- 正しい
第1説は非適用説であるが,本記述は私人間の人権対立の調整に関して,立法がなされていなければ裁判所が介入できないとされるのは非適用説であると述べている。この点,非適用説に立てば,特段の定めのある場合を除いて,私人間の人権対立に際し憲法を適用することはできない。そうすると,裁判所は当該立法が制定され,これを解釈適用することにより初めて,私人間の人権対立を調整することが可能となる。よって,非適用説に立てば,立法がなされていなければ私人間の人権対立の調整に裁判所が介入できないといえる。従って,本記述は正しい。
- ウ
- 正しい
第2説は直接適用説であるが,本記述は人権規定が法的義務に転化しかねないと批判されるのは直接適用説であると述べている。この点,直接適用説に立つと基本権が相手方にとって義務的拘束となり,具体的立法をまたずに予測できない義務が憲法から直接引き出される危険がある。よって,第2説には本記述の批判が妥当する。従って,本記述は正しい。
- エ
- 正しい
第3説は間接適用説であるが,本記述は私人間の事実行為による問題については十分な救済が与えられない可能性があると批判されるのは間接適用説であると述べている。この点,間接適用説に立つと私人間の純然たる事実行為による人権侵害に対しては,真正面から憲法問題として争うことができず,また,民法709条の不法行為に基づく損害賠償の救済手段はあるがそれにも限界がある。よって,間接適用説に立てば,私人間の事実行為による問題については十分な救済が与えられない可能性があるといえる。従って,本記述は正しい。
- オ
- 誤 り
第3説は間接適用説であるが,本記述は間接適用説を採ると私人間に直接適用される憲法の条文は存在しないと考えることになると述べている。しかし,憲法には私人間に直接適用されることを前提としている規定が存在する。例えば,憲法15条4項後段は明文上私人間に直接適用される。また憲法28条は使用者対労働者という関係において労働者の権利を保護することを目的とするので私人間に直接適用される。そして間接適用説も,そのような規定が私人間に直接適用されることを否定するものではない。従って,本記述は,第3説を採ると,私人間に直接適用される憲法の条文は存在しないと考えることになるとする点で誤っている。
以上により,誤っている記述はアとオであり,従って,正解は肢2となる。
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