解答
不正解
正解は、肢 2
正答率 : 7345/15996 ( 45.9% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・イ | 2993 | 18.7% |
2 | ア・オ | 7345 | 45.9% |
3 | イ・ウ | 2186 | 13.7% |
4 | ウ・エ | 1710 | 10.7% |
5 | エ・オ | 1745 | 10.9% |
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民法:先取特権の順位:昭57-9,平元-9,平15-13,平10-12,平17-11
解説
- ア
- 誤 り
特別の先取特権は一般の先取特権に優先する(民法329条2項本文)。ただし,共益費用の先取特権者は,その費用によって利益を受けたすべての債権者に対して,すなわち,特別の先取特権者に対しても,優先権を認められる(民法329条2項ただし書)。その趣旨は,このような共益費用は特別の先取特権者もその利益を受けたものであるから,かかる優先権を認めないと特別の先取特権者が不当に利得する結果となり公平に反する点にある。よって,共益費用たる借家人の家具の換価・配当費用の先取特権は,家主の賃料の先取特権に優先する。従って,本記述は誤っている。
- イ
- 正しい
民法339条。不動産保存の先取特権及び不動産工事の先取特権は,それらが適法に登記されたものであれば,常に抵当権に優先する(民法339条,337条,338条)。これは,不動産物権変動の原則に反するが,抵当権設定後になされた保存は抵当権者の利益にもなり,また,工事による増価前の不動産を担保にとった抵当権者は,工事による増加額について先取特権者に優先されても損害を被らないという理由で認められた特例である。従って,本記述は正しい。
- ウ
- 正しい
民法330条2項前段。第1順位の先取特権者が,債権取得の当時,第2順位又は第3順位の先取特権者があることを知っていたときには,第1順位者はこれに対して優先権を行うことができず,その者の後順位となる(民法330条2項前段)。その趣旨は,この場合には第1順位の先取特権者はそれだけ価値の減少した動産を担保にとったものとして扱うのが妥当だとされる点にある。よって,借家人の備え付けた家具の買受代金が未払いであることを家主が知っていた場合には,第1順位者である家主は家具を売った者に対して優先権を行うことはできない。従って,本記述は正しい。
- エ
- 正しい
民法331条1項。不動産の先取特権相互間では,民法325条に定める順序,すなわち,不動産の保存,不動産の工事,不動産の売買の順序となる(民法331条1項)。不動産保存の先取特権は,保存行為によって他の先取特権者にも利益を与えるため,第1順位とされている。次に,不動産工事の先取特権は,工事によって生じ,かつ現存する増加額についてのみ存在するものである(民法327条2項)から,不動産の売主の先取特権より優先させるのが妥当であるため,第2順位とされている。従って,本記述は正しい。
- オ
- 誤 り
動産先取特権の優先順位は,原則として,第1順位が不動産の賃貸,旅館の宿泊及び運輸の先取特権,第2順位が動産保存の先取特権,第3順位が動産売買,種苗又は肥料の供給,農業の労務及び工業の労務の先取特権の順となる(民法330条1項)。また,同一の目的物について同一順位の先取特権が数人あるときは,各先取特権者は,その債権額の割合に応じて弁済を受ける(民法332条)。よって,種苗又は肥料の供給の先取特権と農業の労務の先取特権は同順位であるから,これらが競合する場合には,債権額に応じて弁済を受けることになり,種苗又は肥料の供給の先取特権と旅館の宿泊の先取特権が競合する場合,前者が第3順位,後者が第1順位であるから,種苗又は肥料の供給の先取特権より旅館の宿泊の先取特権が優先する。従って,本記述は誤っている。
以上により,誤っている記述はアとオであり,従って,正解は肢2となる。
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