解答
不正解
正解は、肢 4
正答率 : 4083/12408 ( 32.9% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・ウ | 3002 | 24.2% |
2 | ア・オ | 1491 | 12.0% |
3 | イ・ウ | 1938 | 15.6% |
4 | イ・エ | 4083 | 32.9% |
5 | エ・オ | 1874 | 15.1% |
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民法:抵当権の効力:昭62-11,平3-13,平4-8,平8-11
解説
- ア
- 正しい
民法391条。民法391条は「抵当不動産の第三取得者は,抵当不動産について必要費又は有益費を支出したときは,第196条の区別に従い,抵当不動産の代価から,他の債権者より先にその償還を受けることができる。」と規定する。この趣旨は,第三者が支出した必要費や有益費は,抵当不動産の価値を維持する作用を果たしており,一種の共益費と考えられることから,売却代金から優先的に償還を受けられる権利を与えた点にある。本記述においてCは抵当不動産をBより買い受けているのであるから,抵当不動産の第三取得者に当たり,抵当不動産に有益費を支出しているのであるから,他の債権者に先立って費用償還を受けることができる。従って,本記述は正しい。
- イ
- 誤 り
建物抵当権についても,抵当権設定に後れて設定された賃借権は賃貸借期間の長短にかかわらず競売により消滅する。ただし,競売により賃借権が消滅し,賃借人が直ちに建物を明け渡さなければならないとすると賃借人にあまりに酷であることから,土地賃借権の場合とは異なり,建物賃借人が競売開始手続前から賃貸借により建物の使用又は収益をしていた場合には,6か月間の明渡猶予期間が認められている(民法395条1項1号)。もっとも,Cが競売手続開始後に乙建物の使用又は収益を開始した本記述では,明渡猶予期間は認められない。従って,本記述は誤っている。
- ウ
- 正しい
民法387条。イの解説で述べたとおり,建物抵当権についても,抵当権設定に後れて設定された賃借権は賃貸借期間の長短にかかわらず競売により消滅するのが原則である。ただし,建物抵当権設定に後れて設定された建物賃借権につき賃借権設定登記がなされている場合で,建物賃借権に優先するすべての抵当権者が競売後の建物賃借権の存続に同意し,かつ,その同意の登記をしたときには,競売後も建物賃借権は消滅せず競落人に引き受けられる(民法387条)。これは,極めて高品質の賃貸ビル・賃貸マンションに優良なテナントや富裕な賃借人が入居しているような場合には,競売により賃借権を消滅させないほうが建物競落人にとってもメリットがあり,むしろ高額で売却できるため抵当権者にとっても有利であるケースもあり,多額の保証金等を支払って入居している優良なテナント側も,賃借権を競落人が引き受けることを強く望むためである。もっとも,Cが乙建物の賃借権の登記をしていない本記述では民法387条の適用はないので,賃借権が先順位抵当権に優先する登記をすることができず,原則どおりCの乙建物賃借権は消滅する。従って,本記述は正しい。
- エ
- 誤 り
抵当権者は,まず抵当不動産から弁済を受けなければならないので(民法394条1項),抵当権者が先に一般財産に対して強制執行をした場合,一般債権者は異議を述べ得る(大判大15.10.26)。よって,CはAによる強制執行の申立てに対して異議を述べることができる。従って,本記述は誤っている。
- オ
- 正しい
民法389条1項。民法389条1項は「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは,抵当権者は,土地とともにその建物を競売することができる。ただし,その優先権は,土地の代価についてのみ行使することができる。」と規定する。この趣旨は,抵当権の実行を容易にする一方,抵当権の目的でない建物を土地と一緒に競売して同一買受人に属することを可能とすることで,建物の存続を図ろうとする点にある。もっとも,抵当地上に築造された建物が土地抵当権設定者以外の者の所有に属し,その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には,一括競売はできないとされている(民法389条2項)。本記述においては,抵当権設定後,甲土地上に占有権限を有しないCが乙建物を建築したのであるから,Aは甲土地と乙建物を一括競売することができ,甲土地の売却代金から優先弁済を受けることができる(民法389条)。従って,本記述は正しい。
以上により,誤っている記述はイとエであり,従って,正解は肢4となる。
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