解答
正解
正答率 : 5244/12454 ( 42.1% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・ウ | 2266 | 18.2% |
2 | ア・オ | 1307 | 10.5% |
3 | イ・エ | 5244 | 42.1% |
4 | イ・オ | 1822 | 14.6% |
5 | ウ・エ | 1795 | 14.4% |
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民法:根抵当権:昭57-8,平17-16
解説
- ア
- 正しい
民法398条の7第1項後段。根抵当権はその確定により担保される元本債権が特定するので,それまでは個々の債権の発生・消滅により根抵当権は影響を受けず,付従性はない。また,法律関係が複雑になりすぎるのを防止するため,随伴性は否定されている(民法398条の7第1項前段)。さらに,随伴性が否定されるのと同じ理由で,元本の確定前に債務者のために,又は債務者に代わって弁済をした者も根抵当権を行使することができない(民法398条の7第1項後段)。従って,本記述は正しい。
- イ
- 誤 り
確定前の根抵当権については,複雑な法律関係を防止するため,普通抵当権に認められた民法376条1項の処分は適用されず,根抵当権の譲渡という簡明な処分方法が認められているにとどまる(民法398条の11第1項本文,398条の12,398条の13)。もっとも,転抵当を認めてもそれほど法律関係は複雑にならないから,根抵当権をほかの債権の担保とする転根抵当は認められている(民法398条の11第1項ただし書)。従って,本記述は誤っている。
- ウ
- 正しい
元本確定時に存在する債権額が極度額をかなり下回っている場合でも,根抵当権者は,利息・遅延損害金を極度額まで担保させるために,根抵当権の実行をしないでいることがあるが,これは担保価値の有効利用に反する。そこで,このような場合,設定者は根抵当権の極度額を,現に存在する債務の額とその後2年間に生ずる利息や遅延損害金の額とを加えた額に減額するように請求できる(民法398条の21)。そして,この請求権は形成権と解されることから,根抵当権者への一方的意思表示により減額の効果が生じる。従って,本記述は正しい。
- エ
- 誤 り
根抵当権は成立・存続・消滅における付従性がなく,被担保債権は不特定である。即ち,個々に発生する債権のうちどの債権が担保されるかが特定されていない。確かに,これを徹底すれば,債務者・債権者間の全債権を被担保債権とする包括根抵当とすることも許されるようにも思える。しかし,現行法は包括根抵当を否定している(民法398条の2第2項)。その理由は,包括根抵当は債権者にとって極めて便利であるから,常にこれを要求することになりかねず,そうすると,根抵当権者の力がますます強くなって,過大な担保を取るようになる。そして,このような事態は不動産の担保価値の効率的な利用に反し,後順位抵当権者や一般債権者の利益が害されると考えたことにある。従って,本記述は誤っている。
- オ
- 正しい
普通抵当権としての共同抵当権においては,同一債権担保のために抵当権が設定されると,当然に民法392条が適用され,被担保債権が各不動産に割り付けられる。これに対して,根抵当権においては,共同根抵当権である旨の登記が特になされた場合に限って民法392条,393条の規定が適用され(民法398条の16),その登記のないときは,根抵当権者は,どちらの不動産についても極度額まで優先権を行使し得る(民法398条の18)。登記のある場合を純粋共同根抵当権と呼び,ない場合を累積式共同根抵当権と呼ぶ。純粋共同根抵当権の場合に,登記が要求されているのは,法律関係の混乱を避けるためである。本記述は登記がなく,累積式共同根抵当権であり,各々の不動産につき極度額まで優先弁済を受けることができる。従って,本記述は正しい。
以上により,誤っている記述はイとエであり,従って,正解は肢3となる。
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