解答
不正解
正解は、肢 3
正答率 : 5127/11722 ( 43.7% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・イ | 2450 | 20.9% |
2 | ア・ウ | 1429 | 12.2% |
3 | イ・オ | 5127 | 43.7% |
4 | ウ・エ | 1333 | 11.4% |
5 | エ・オ | 1379 | 11.8% |
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民事訴訟法:訴訟手続の停止:昭57-3,昭63-4
解説
- ア
- 誤 り
裁判所は,係属する訴訟手続を進行させる義務を負うが,逆に一定の事由が発生した場合には,手続を進行させることが禁じられる。これが訴訟手続の停止と呼ばれるものである。手続が停止している間は,期間も進行しないし,当事者及び裁判所が訴訟行為を行ってもその効力は生じない。これに違反した場合には,当事者が手続関与の機会を奪われたものとみなされ,上訴又は再審による救済が与えられる(民訴法312条2項4号,338条1項3号)。ただし,無効な訴訟行為も責問権の喪失(民訴法90条本文)によって治癒され得るし,また,中断を解消させることを目的とする受継の申立てやそれに対する裁判は,その性質上中断中に行うことが可能である。従って,本記述は,訴訟手続が停止している間になされた訴訟行為の無効は治癒されることはないとしている点で誤っている。
- イ
- 正しい
法定代理人が死亡し,又は法定代理権を失ったときには,本人自身が訴訟行為をすることができず,かつ,本人のために訴訟行為をなす者が存在しないから,訴訟が中断するのが原則である(民訴法124条1項3号)。これに対して,訴訟代理権の消滅は,本人が直ちに訴訟行為をなすことができるから,中断事由にならない。従って,本記述は正しい。
- ウ
- 誤 り
第三者が権利関係の帰属主体に代わって,訴訟担当者たる当事者として訴訟行為をなす資格を持つときにおいて,その資格を喪失すると,有効に訴訟行為をなすことができなくなり,また,権利関係の帰属主体自身も直ちに訴訟行為を行うことができない場合がある。このような場合の訴訟中断事由として,一定の資格を有する者が,他人のために当事者となっている訴訟においてその資格を喪失したときについての定めがある(民訴法124条1項5号)。法定訴訟担当者及び職務上の当事者がこれに該当する。ただし,同じく法定訴訟担当者であっても,代位債権者(民法423条)又は取立債権者(民執法157条)の場合には,実質は自己の債権実現のための訴訟担当であるから,ここには含まれない。従って,本記述は,代位債権者が被保全債権を失った場合には手続が中断するとしている点で誤っている。
- エ
- 誤 り
受継とは,中断事由の発生によって停止している訴訟手続を新当事者などに続行させるための手続である。中断事由が発生すると,相続人などの承継人は,当然に新当事者としての地位を取得する。しかし,当事者として訴訟行為を行うためには,受継の手続を経なければならない。すなわち,受継は,承継人が当事者としての地位を取得するための手続ではなく,裁判所が手続を続行し,新当事者が有効に訴訟行為をなし得る前提となる手続である。従って,本記述は,当事者として訴訟行為を行うにはなんら手続を要しないとしている点で誤っている。
- オ
- 正しい
民事訴訟法130条。中止は,中断と並ぶ訴訟手続の停止原因であり,裁判所又は当事者が訴訟行為を行うことを不可能にする事由が発生した場合,その事由が消滅するまで手続が停止される。訴訟手続が中止する場合として,天災その他の事由によって裁判所の職務執行が不能となった場合(民訴法130条)がある。その場合,裁判所が中止の決定をなすことは事柄の性質上期待できず,中止事由の発生によって手続は当然に停止し,また,中止事由が消滅することによって手続が当然に進行する。従って,本記述は正しい。なお,当事者が不定期間の故障により訴訟手続を続行することができないときは,裁判所の決定によってはじめて中止の効果が生ずる(民訴法131条1項)。
以上により,正しい記述はイとオであり,従って,正解は肢3となる。
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