解答
不正解
正解は、肢 2
正答率 : 5407/13018 ( 41.5% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | 1個 | 2967 | 22.8% |
2 | 2個 | 5407 | 41.5% |
3 | 3個 | 1851 | 14.2% |
4 | 4個 | 1458 | 11.2% |
5 | 5個 | 1332 | 10.2% |
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不動産登記法:農地法の許可を証する情報:昭61-30,昭62-20,平元-28,平3-29,平4-31,平6-19,平9-26,平14-15,平18-14,平21-13
解説
- ア
- 要しない
不動産登記令7条1項5号ハは,権利に関する登記を申請するに際し,登記原因について第三者の許可を要するときは,当該第三者が許可したことを証する情報を提供しなければならないとしており,農地法3条1項は,農地について所有権を移転し,又は地上権等の使用及び収益を目的とする権利を設定若しくは移転するには,同条所定の許可を受けなければならないとしている。それゆえ,農地法3条の許可を要するときは,当該許可を証する情報を提供しなければならない。もっとも,所有権の移転であっても,農地法所定の許可は行政処分であるから,かかる行政処分が介在する余地がないときは,農地法3条1項の適用はない。そうすると,相続は包括承継であり(民法896条),所有権は被相続人の死亡という事実により当然に相続人に移転するから(民法882条,896条),相続による所有権の移転については,行政処分たる農地法所定の許可が介在する余地がない。それゆえ,共同相続人間においてされた相続分の譲渡に伴って生ずる農地の権利移転についても,農地法3条1項の許可を要しない(最判平13.7.10)。共同相続人間で相続分の譲渡がされた場合でも,譲受人は従前から有していた相続分に加えて新たな相続分を取得するだけで,被相続人から相続人に対し直接包括的に権利が承継される点で相続と変わらないからである。よって,農地法所定の許可を証する情報の提供を要しない。従って,本記述の場合は要しない。
- イ
- 要しない
農地についての売買又は贈与契約を解除し,その所有権移転登記を抹消する場合には,当事者の契約その他の合意に基づく解除の場合を除き,農地法3条所定の許可を証する情報を提供することを要しない(昭31.6.19民甲1247)。解除は契約関係を一方的に破棄する法的手段であるが,契約の解消を当事者が合意する合意解除の場合と異なり,法定解除は法律の規定により解除権が与えられる。それゆえ,法定解除の場合,解除権の行使に際し行政処分たる農地法所定の許可が介在する余地がない。よって,売買契約の法定解除による所有権抹消登記を申請する場合,農地法所定の許可を証する情報の提供を要しない。従って,本記述の場合は要しない。
- ウ
- 要しない
遺留分とは,一定の相続人(遺留分権利者)に法律上留保することを保障された相続財産の一部をいう。遺留分権利者は,遺留分を保全するのに必要な限度で遺留分減殺請求権を行使できる(民法1031条)。かかる遺留分減殺請求権は,法律の規定により認められるものであるから,その行使に際し,行政処分たる農地法所定の許可が介在する余地がない。よって,遺留分減殺を登記原因とする所有権移転登記を申請する場合,農地法所定の許可を証する情報の提供を要しない。従って,本記述の場合は要しない。
- エ
- 要しない
抵当権は質権と異なり,債務者又は第三者が債務の担保に供した物の占有を移さずに,抵当権設定者に目的物の使用及び収益をまかせながら,その物の交換価値から優先的に弁済を受けることのできる担保物権である。そうすると,農地法3条1項は農地の使用及び収益を目的とする権利を設定する場合には所定の許可を得なければならないとしているから,設定者に使用及び収益をまかせる抵当権の設定は,農地法3条1項の規定する場合に当たらない。よって,抵当権設定登記を申請する場合,農地法所定の許可を証する情報の提供を要しない。従って,本記述の場合は要しない。
- オ
- 要する
特定遺贈による所有権移転登記を申請する場合,受遺者が相続人の一人であっても農地法所定の許可を証する情報を提供することを要する(昭43.3.2民3.170)。遺贈は遺贈者と受遺者との間で,遺贈者の遺言という法律行為によって権利変動が生じるものであるから,農地法の規制対象となる。よって,特定遺贈の場合は,たとえ受遺者が相続人の一人であっても,農地法による権利移転の制限規定の適用を受ける。よって,相続人の一人を受遺者とする特定遺贈による所有権移転登記を申請する場合,農地法の所定の許可を証する情報の提供を要する。従って,本記述の場合は要する。なお,包括遺贈の場合は,包括受遺者は相続人と同一の地位にあるため(民法990条参照),農地法施行規則3条5号で農地法による権利移動の制限除外例とされている。
- カ
- 要する
協議による共有物分割を登記原因とする共有持分の移転にも農地法3条の規定の適用があり,登記の申請には農地法所定の許可を証する情報の提供を要する(昭41.11.1民甲2979)。協議による共有物の分割は,その有する持分の交換又は売買が行われたのと同様の効果を生じるものであるから,協議による共有物分割による共有持分の移転には農地法3条1項本文の適用がある。よって,協議による共有物分割を登記原因とする共有持分移転の登記を申請する場合,農地法所定の許可を証する情報の提供を要する。従って,本記述の場合は要する。
以上により,農地法所定の許可を証する情報の提供を要するものはオとカの2個であり,従って,正解は肢2となる。
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