解答
不正解
正解は、肢 4
正答率 : 4989/15019 ( 33.2% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・エ | 3726 | 24.8% |
2 | ア・オ | 2164 | 14.4% |
3 | イ・ウ | 2247 | 15.0% |
4 | イ・オ | 4989 | 33.2% |
5 | ウ・エ | 1872 | 12.5% |
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民法:物権的請求権の相手方:平11-16,平14-8,平18-11
解説
- ア
- 誤 り
本記述の見解のように,土地所有権に基づく物上請求権を行使して建物収去・土地明渡しを請求するには,現実に建物を所有することによってその土地を占拠し,土地所有権を侵害している者を相手方とすべきであると考えても,本問判決の立場と矛盾しない。本判決は,原則として本記述の立場に立ちつつ,それを貫くと,土地所有者が建物の実質的所有者を探求する困難を強いられ,また,相手方において,たやすく建物の所有権の移転を主張して明渡しの義務を免れる不合理が生じることから,一定の場合,即ち他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には,譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできないとしたものだからである。従って,本記述は誤っている。
- イ
- 正しい
建物収去・土地明渡しを請求する相手方は建物の実質的所有者のみであるとすると,土地所有者は建物の実質的所有者を探求する困難を強いられることになってしまう。このように土地所有者が不利益を受けることが不当と解するならば,土地所有者に不利益とならないように,実質的所有者に対してだけでなく,一定の場合には登記名義人にも建物収去・土地明渡しの義務を負わせるべきと解することになる。本問判決も「もし,これを,登記に関わりなく建物の『実質的所有者』をもって建物収去・土地明渡しの義務者を決すべきものとするならば,土地所有者は,その探求の困難を強いられることになり…」として,本記述と同様の理由を挙げている。よって,このことは本判決の結論を支持する理由となる。従って,本記述は正しい。
- ウ
- 誤 り
本問判決は,原則として建物所有者が建物収去・土地明渡しの義務を負い,例外的に,他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由し,建物を譲渡した後も引き続き登記名義を保有する場合には,建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできないとしている。よって,本記述のように,自らの意思に基づかずに自己名義の登記を有するときは,原則どおり建物所有者が建物収去・土地明渡しの義務を負うことになる。従って,本記述は誤っている。
- エ
- 誤 り
本問判決は,建物所有者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由し,建物を譲渡した後も引き続き登記名義を保有する場合,建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできないとしている。しかし,本記述のように,実際に建物を所有したことがない者についてはこの場合に当たらず,建物収去・土地明渡しの義務を負わないことになる。従って,本記述は誤っている。
- オ
- 正しい
本記述のように,建物所有者が建物の譲渡につき登記を行うことが通常はさほど困難なこととはいえず,不動産取引に関する社会の慣行にも合致するとすれば,建物譲渡人が登記名義を保有する場合に限り建物収去・土地明渡しの義務を負うとしても,過度な負担であるとはいえない。よって,このことは本問判決の結論を支持する理由となる。従って,本記述は正しい。なお,本問判決も本記述と同様の理由を挙げている。
以上により,正しい記述はイとオであり,従って,正解は肢4となる。
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