解答
不正解
正解は、肢 1
正答率 : 8077/16783 ( 48.1% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・ウ | 8077 | 48.1% |
2 | ア・オ | 2807 | 16.7% |
3 | イ・エ | 2068 | 12.3% |
4 | イ・オ | 1678 | 10.0% |
5 | ウ・エ | 2130 | 12.7% |
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民法:相隣関係:昭59-11,昭61-22,平元-8,平5-16,平18-12
解説
- ア
- 正しい
民法209条1項本文,民法414条2項ただし書。土地の上に建物を築造・修繕する際に隣地を使用する必要が生ずる場合がある。そこで,工事を円滑に行い,もって土地をできるだけ有効に利用するために,民法は,一時的な隣地使用権を土地所有権の一内容として認めている(民法209条1項本文)。この隣地使用権は建物等を築造・修繕する場合に必要な範囲内で隣地への立入り・使用を認めるものである。そして,隣人がこの使用を承諾しない場合には,裁判所で承諾に代わる判決(民法414条2項ただし書)を得て,立ち入ることができる。よって,本記述においてAは甲地上に住居を建築するために必要な範囲での乙地使用を請求することができ,仮にBが使用を承諾しない場合には,裁判所で承諾に代わる判決を得ることで,乙地を使用することができる。従って,本記述は正しい。
- イ
- 誤 り
土地の所有者は,自己の土地に自由に竹木を栽植することができる。しかし,隣地所有者は,土地の上下を自由に使用する権能を有する(民法207条)から,枝や根が隣地内にまで伸びれば,当然隣地の所有権を多かれ少なかれ侵害することになる。そこで,両者の利害を調整するため,民法233条が規定されている。そして,同条は,枝については,これを竹木の所有者に切り取らせ(民法233条1項),根については,これを自分で切り取ることができるとしている(民法233条2項)。本記述で,Aは,Bが乙地に植栽した樹木の枝により甲地の利用を妨げられているが,AはBに対して枝の切除を請求できるのみで,自ら枝を切り取ることはできない。従って,本記述は誤っている。
- ウ
- 正しい
他人の土地に囲まれて公道に通じていない土地(袋地)の所有者は,公道に出るために隣地(囲繞地)を通行でき(民法210条1項),囲繞地通行権者は,通行地の損害に対して償金を支払わなければならない(民法212条本文)とされる。この囲繞地通行権は,袋地の有効な利用という公益上の必要に基づいて法律上認められるものであるから,仮に償金不払いの事実があっても,それのみでは消滅せず,債務不履行責任が生ずるだけである。本記述で,Aが償金の支払いを怠ったとしても,通行権自体が消滅することはない。従って,本記述は正しい。
- エ
- 誤 り
分割によって公道に通じない土地が生じたときは,その土地の所有者は,公道に至るため,他の分割者の所有地のみを通行することができる(民法213条1項)。そして,民法213条1項は土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合に準用されている(民法213条2項)。よって,Aは,Cの土地に対しては通行権を取得することができるが,公道に通じるために便宜であったとしても,B所有の乙土地を通行することはできない。従って,本記述は誤っている。
- オ
- 誤 り
囲繞地通行権により囲繞地を通行する際の場所及び方法は,通行権者が袋地を利用するために必要で,かつ囲繞地にとって損害の最も少ないものでなければならない(民法211条1項)。さらに,通行権者は,必要があるときは通路を開設することができる(民法211条2項)。例えば,砂利を敷いたり,障害物を除去することである。本記述で,Aは,必要な場合には乙地上に通路を開設することはできる。従って,本記述は誤っている。
以上により,正しい記述はアとウであり,従って,正解は肢1となる。
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