解答
不正解
正解は、肢 4
正答率 : 6198/15117 ( 41.0% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・ウ | 2882 | 19.1% |
2 | ア・エ | 1719 | 11.4% |
3 | イ・エ | 1912 | 12.6% |
4 | イ・オ | 6198 | 41.0% |
5 | ウ・オ | 2385 | 15.8% |
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民法:共同相続と177条:昭57-15,昭58-15,平4-14,平6-18,平10-13,平13-6
解説
- ア
- 正しい
最判昭39.3.6。本記述のような特定遺贈における受遺者と相続人の差押債権者との優劣関係につき,判例は,「不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても,その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず,所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ」,「遺贈は…意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから,遺贈が効力を生じた場合においても,遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は,完全に排他的な権利変動を生じない」と判示し,また,「177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としている」から,「遺贈の場合においても…登記をもつて物権変動の対抗要件とする」と判示している(最判昭39.3.6)。よって,登記を備えていない受遺者Dは,Bの差押債権者Eに対し,甲土地の単独所有権を主張できない。従って,本記述は正しい。
- イ
- 誤 り
本記述のような特定遺贈における受贈者たる相続人と受遺者たる相続人との優劣関係について,判例は,対抗要件たる登記の具備の有無をもって決すると判示し,これは,受贈者・受遺者が相続人として,受贈者が遺贈の履行義務を,受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあっても変わらない,としている(最判昭46.11.16)。よって,BとCはともにAの相続人であるが,登記を具備しない受遺者Cは,受贈者Bに対し,甲土地所有権を主張できない。従って,本記述は誤っている。
- ウ
- 正しい
最判昭38.2.22。共同相続人が自己の相続分を登記なくして第三者に対抗し得るかについて,判例は,「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中の乙ならびに乙から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者丙に対し,他の共同相続人甲は自己の持分を登記なくして対抗しうる」と判示している。そして,その理由につき,「乙の登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり,登記に公信力なき結果丙も甲の持分に関する限りその権利を取得するに由ないから」であるとしている(最判昭38.2.22)。よって,持分登記のない共同相続人Cも,Bからの譲受人Dに対し,甲土地の自己の持分を主張できる。従って,本記述は正しい。
- エ
- 正しい
最判昭42.1.20。相続放棄と登記について,判例は,民法915条の「所定期間内に家庭裁判所に放棄の申述をすると(民法938条),相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり,この効力は絶対的で,何人に対しても,登記等なくしてその効力を生ずる」と判示している(最判昭42.1.20)。これは,相続放棄の場合,遺産分割と異なって,遡及効制限規定がないこと,放棄は短期間にのみ可能であり(民法915条1項),相続財産の処分行為があれば放棄は許されなくなるため(民法919条1項,921条),第三者が利害関係を有するに至ることが少ないこと,などによる(最判昭46.1.26参照)。よって,Bが相続の放棄をした場合,登記のない相続人Cも,Bの差押債権者Dに対し,甲土地の単独所有権を主張できる。従って,本記述は正しい。
- オ
- 誤 り
遺産分割と登記について,判例は,「遺産の分割は,相続開始の時にさかのぼつてその効力を生ずるものではあるが,第三者に対する関係においては,相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから,不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については,民法177条の適用があり,分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は,その旨の登記を経なければ,分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し,自己の権利の取得を対抗することができない」と判示している(最判昭46.1.26)。よって,登記を経ていない相続人Bは,分割後にCから甲土地を譲り受けたDに対し,甲土地の単独所有権を主張できない。従って,本記述は誤っている。
以上により,誤っている記述はイとオであり,従って,正解は肢4となる。
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