解答
不正解
正解は、肢 4
正答率 : 6481/13063 ( 49.6% )
肢 |
回答 |
回答数 |
割合 |
1 | ア・イ | 2188 | 16.7% |
2 | ア・エ | 1359 | 10.4% |
3 | イ・ウ | 1572 | 12.0% |
4 | ウ・オ | 6481 | 49.6% |
5 | エ・オ | 1436 | 11.0% |
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民法:質権と留置権:昭58-9,昭61-2,昭62-6,平2-8,平10-11,平11-14,平14-10,平15-14,平17-12・13,平19-11,平20-13
解説
- ア
- 誤 り
質権者は,質権設定者に,自己に代わって質物の占有をさせることができない(民法345条)。しかし,動産質においては,質物の占有は対抗要件にすぎず,不動産質においては対抗要件でもないことから,質権者が一旦有効に質権を設定した後,質権設定者に質物を占有させたときでも,これによって質権が消滅することはない(大判大5.12.25)。よって,AがBに目的不動産を任意に返還しても,質権は消滅しない。一方,留置権においては,占有は成立要件であり(民法295条),留置権者が占有を喪失した場合,留置権は当然に消滅する(民法302条本文)。よって,AがBに目的不動産を任意に返還した場合,留置権は消滅する。従って,本記述は誤っている。
- イ
- 誤 り
民法177条における登記を対抗要件とする不動産物権は,所有権・地上権・永小作権・地役権・先取特権・質権・抵当権である(不登法3条参照)。留置権は,その性質上登記を要せず,登記することもできない(不登法3条参照)。よって,Aが質権の設定を第三者に対抗するために登記を備えることを要するとする点は正しいが,Aが留置権の成立を第三者に対抗するために登記を要するとする点は,誤っている。従って,本記述は誤っている。
- ウ
- 正しい
留置権者は,被担保債権全額が完済されるまでは,その目的物の全部を留置することができる(不可分性,民法296条)。この規定は民法350条により質権にも準用されるので,質権にも不可分性が認められる。よって,Aが被担保債権の一部の弁済を受けても,質権も留置権も共に消滅しない。従って,本記述は正しい。
- エ
- 誤 り
不動産質権者は,設定行為に別段の定めがない限り(民法359条参照),その用法に従い,目的不動産を使用及び収益することができる(民法356条)。これは,質権者は質物を使用収益することができないという原則(民法350条,298条)を不動産質権においても貫くと,目的不動産は,質権者が設定者からその占有を取り上げている関係上(民法345条参照),だれにも利用されないことになって社会経済上不利益であり,他方,質権者に利用させても,目的不動産を損壊する危険がないことから認められたものである。よって,Aは原則として,Bの承諾なくして不動産を賃貸することができるとする点は,正しい。これに対して,留置権者は,債務者の承諾なしに留置物を使用し賃貸し又は担保に供することはできない(民法298条2項本文)。なぜなら,留置権者は,債権担保のために目的物を占有しているにすぎないからである。よって,債務者の承諾があれば賃貸は可能である。従って,Bの承諾があっても不動産を賃貸することができないとする点で本記述は誤っている。
- オ
- 正しい
留置権では,債務者が留置物の代わりとして,相当の担保を提供して留置権の消滅を請求することができる(民法301条)。これは,留置権によって担保される債権の額が,一般に目的物の価格に比較して僅少な場合が多く,その場合にその物を留置されることは債務者に酷であり,かえって不公平ですらあり,他方,留置物の代わりとなる相当の担保を得れば,債権者たる留置権者にもなんら損失はないことから認められたものである。これに対して,質権では,代担保の提供による消滅請求の規定はない。従って,本記述は正しい。
以上により,正しい記述はウとオであり,従って,正解は肢4となる。
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